トランプ大統領の中庸

トランプ大統領は実は中庸を得た人である。

 

彼に思想的極端さはない。ただ現実主義であり、現実をそのままに見つめ、そのまま話している。

だが、アメリカには、political correctnessなる概念が近年言われるようになって、事実であっても、差別的な表現になってしまうならば慎まなくてはならないという風潮がある。これは概して良いことである。理性と優しさの発露ではある。しかし行き過ぎは禁物であろう。

 

トランプの女性に関する発言も、ほとんどは、世の中の男性が実感していることであって、過激でもなく、一種の世間知としての凡庸な真理を含んだことばにすぎない。

 

中絶に関するトランプ大統領のスタンスも痛快である。

  • トランプ:私は完全にプロチョイスだ。中絶のことは嫌悪している。嫌いだ。胎児の殺害を意味する全てを嫌っている。私は人々がこの話題で言い争うのを聞くだけで、身のすくむ思いがする。しかし、そうであっても選ぶ自由を認めるべきなのだと思う。それに……あるいはニューヨークの人々の物の捉え方には、他の地域の人々とは少し変わっている部分がある。そして知ってのように、私はニューヨーク生まれの人間だ。この町で大きくなって、働いて、ニューヨークシティで形作られた。なんにせよ、プロチョイスを強く支持している。だが堕胎も嫌悪している
司会者:ではトランプ大統領は堕胎を禁止しますか?
トランプ:いいえ、自分はどの点でもプロチョイスだ。しかし、嫌いなんだ[578]
  • 自分は全面的に「中絶の自由」を支持する。「中絶の自由」を嫌悪しているし、「中絶の自由」など口にするのも嫌だ。そして自分が「中絶の自由」の支持者だと言うことを恥ずかしいとも感じる。だが支持する他ないように思われるから「中絶の自由」の支持者だ[579]。(wikipedia)

 

トランプ大統領の特徴は、素朴な倫理観念と現実主義が、高度な実践的知性によって統合されている点にある。このような人は、まさに今世界が求めていた人であった。

トランプ大統領の果たした世界的な、一種の盲進的な自由主義進歩主義に対する痛快なアンチテーゼとしての役割はよく評価されるべきだ。